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退職者のアカウントが残る原因と、停止漏れを防ぐ手順

公開 2026年10月14日

IPA は、異動や退職で不要になった利用者 ID とアクセス権を、ただちに削除するよう求めています。人事の退職手続きとシステムの権限の停止が連携していないと、停止漏れが起きやすくなります。退職の登録をきっかけに停止の依頼が必ず出る流れにし、定期的に「退職者なのに有効なアカウント」を点検すると、停止漏れを減らし、残ったアカウントを見つけやすくなります。

退職した社員のアカウントが、気づかないうちに有効なまま残っていることがあります。IPA の「情報セキュリティ10大脅威 2026」(組織編)でも、「内部不正による情報漏えい等」は7位 に選ばれています。

なぜ退職者のアカウントが残るのか

停止漏れにつながる状況として、たとえば次のようなものがあります。

  • 退職の連絡が人事や総務で止まり、システムの管理者に伝わらない
  • メール、チャット、クラウドストレージ、会計などのサービスごとに管理者が違い、どこまで止めたか分からない
  • 入社のときに何を付与したかの記録がなく、止めるべきものを洗い出せない

IPA の「組織における内部不正防止ガイドライン」は、異動や退職で不要になった利用者 ID が削除されていないと、役職員や元役職員に不正に使われ、重要な情報にアクセスされるおそれがある と指摘しています。

IPA のガイドラインが求めていること

資料 書かれていること(要約)
中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版 共有設定の見直しの対策例として、従業員の異動や退職のときは速やかに設定を変更(削除)する
同上 退職や契約満了のときに、情報や機器・ID・鍵などを回収し、復元できない方法でデータを消去して、チェックリストや証跡で実行状況を見える化する
同上 異動や退職などに伴う権限の変更・削除漏れを防ぐため、アクセス権を見直すルールを定め、権限の付与状況を管理する
組織における内部不正防止ガイドライン(第5版) 異動や退職で不要になった利用者 ID とアクセス権は、ただちに削除する。ID を消すとアクセスの記録まで消える場合は、ID をロックしてアクセスできない状態にし、ログを保全する
同上 雇用や契約が終わるときは、預けた情報資産を返却・消去させ、利用者 ID や権限を削除する。削除されたことを確認し、テレワークのために付与した権限も含める

「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」でも、共有設定の対策例として「従業員の異動や退職時には速やかに設定を変更(削除)する」が挙げられています。

停止漏れを防ぐ手順(例)

IPA のガイドラインの考え方を、日々の手続きに落とし込むと、たとえば次のようになります。

  1. 入社のときに、付与したものを記録する:メールアドレス、利用するサービス、管理者の権限、鍵やカードなど。これが退職のときの「止めるものの一覧」になります
  2. 退職の登録をきっかけに、停止の依頼が出るようにする:人事が退職日を登録したら、各サービスの担当者に依頼と期限が届く流れにします
  3. 止めたことを記録する:誰が、いつ、何を止めたかを残します。機器や鍵の回収も同じ一覧で管理します
  4. 定期的に点検する:在籍者の名簿と、各サービスの有効なアカウントを突き合わせ、「退職者なのに有効」なものがないかを確認します。テレワーク用の VPN や、外部のサービスのアカウントも対象にします

Google Workspace の場合:停止と削除の違い

Google Workspace では、退職者のアカウントを「停止」するか「削除」するかを選べます。ドメインの所有権を証明済みの組織で、管理者が停止・削除する場合の違いは、Google のヘルプにもとづくと次のとおりです。

停止 削除
本人の利用 Workspace のサービスを使えなくなる(進行中の Chat はセッションが終わるまで続く場合がある) できなくなる
メール・ファイルなど 既存のデータは削除されずに残る(停止中の新着メールやカレンダーの招待は届かない) 移行していないデータは消える(共有ドライブのファイルは組織のものなので残る)
料金 停止中も課金の対象(アクティブなアカウントと同額) 年間プランなどでは削除してもライセンス数は減らず、別のユーザーに割り当てられる。フレキシブル プランは日割りで計算(アドオンなど例外あり)
元に戻す いつでも停止を解除できる 削除から20日間はアカウントを復元できる(すべてのデータが戻るとは限らない)

退職の当日はまず停止して本人が使えないようにし、引き継ぎが済んだら、必要なデータを移したうえで削除する、という進め方が考えられます。特権管理者は、削除の操作の中でドライブのファイルやメインのカレンダーなどを移行できますが、メールは対象外なので、必要なら削除の前に移しておきます。特権管理者以外の管理者は、削除の前に移行を済ませておく必要があります。

2段階認証の設定状況もあわせて確かめておくと安全です。手順はGoogle Workspace で2段階認証を全社員に必須にする手順で解説しています。

点検を自動化する

Google Workspace のように管理用の情報を読み取れるサービスでは、名簿とアカウントの一覧の突き合わせを自動化できます。人が見るのは「食い違いがあったもの」だけにすると、点検の手間を減らせます。本人のアクセスは退職に合わせて止め、データを移すか、残すか、消すかは、引き継ぎの状況を知っている人が判断します。

出典

よくある質問

退職者のアカウントはいつ止めるべきですか?

IPA の「組織における内部不正防止ガイドライン」は、利用者 ID や権限の削除は雇用終了の直後に速やかに行うことが肝要だとしています。引き継ぎのためにメールやファイルを残す必要がある場合も、本人がログインできない状態にしたうえで、管理者が対応してください。

Google Workspace では、アカウントを停止すれば費用はかかりませんか?

かかります。Google のヘルプでは、停止中のアカウントも課金の対象で、アクティブなアカウントと同額の料金がかかると案内されています。ただし、年間プランなどでは削除しても契約しているライセンス数と支払額は減らず、そのライセンスを別のユーザーに割り当てられます。不要なアカウントは、データを移したうえで削除を検討してください。

アカウントを止めた記録は必要ですか?

IPA の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」は、退職時に情報や機器・ID・鍵などを回収し、チェックリストや証跡で実行状況を見える化するよう勧めています。誰が、いつ、どのアカウントを止めたかを残しておくと、実施したことを説明する資料になります。

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